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インタビュータイトル

Interview 津田清和「ガラスと器と探究心」 6/6

聞き手:山本忠臣「ギャラリーやまほん」オーナー / 文・構成:竹内典子 / Jun. 2013

作家とギャラリストの関係性

津田 山本君の考えている、ギャラリーやまほんのあり方というのは?

山本 僕の中では、僕の表現が強くあります。それは、展示のやり方とか、どの作家さんを取り上げるかとかもそうですが、何を伝えたいか。

津田 毎回、展示の趣向も凝っていますね。

山本 つくり手がこういうふうに見てもらいたいという場合と、逆に僕の意図でこう見せたいという場合とあります。それを事前に話し合う時もあれば、まったく話さない場合もあるし。その企画内容でさまざまです。

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ギャラリーやまほん http://www.gallery-yamahon.com

津田 当然、衝突することもあるでしょう。各々の感受性でぶつかり合うわけだから。

山本 でも、やっぱりそれが一番成長させてくれるんじゃないですかね。

津田 僕はやまほんでの展覧会は、先ほど今度の展示についても話しましたけど、ある部分にチューニングを合わせて、その部分を特化していくっていう感じです。本質的な部分は変わらないと思うけど、人に見える見せ方というものを意識してもらいたい、ということに主眼を置いています。

僕のふだんの展示のスタンスとしては、この部分だけ見せて展示した方がいいとか、いろいろ展示した方がいいとか、展示する場所によって見せ方は変わるんです。自分の中の引出しから、その場に合うものを持ってくるというか。

山本 いろいろ引出しはあっても、作家としてすべてを貫く1本の筋って重要だと思います。どこで展覧会やっても、どういう見せ方であっても、その人の筋が通ってないとあかんと思うし、それから反れるようなものをつくり続ける必要はないと思う。もちろんつくってからわかることだと思いますが。

津田 もしかして山本君が言いたいのは、前に僕がふだんの作品とはかなり筋のかけ離れたものを出品していた時のことかな。

山本 それをどこかで僕は見つけて、「えっ?」と思っていました(笑)。

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津田 こうやって山本君は良いことも悪いことも両方ちゃんと言ってくれる(笑)。でも、口を出すことは責任もあることだから、今はそういうことをギャラリーの人もあまり言わないですね。

山本 率直な話を津田君とはできるし、それはギャラリーと作家の関係性として大切なことだと僕は思っています。例えば、他の作家の人から私にもアドバイスしてって頼まれたりもします。もちろん率直な作品への感想は感じたままに言いますが、それ以上のことは、関係性ができていないので、正直よくわからないから話せない。津田君とはお互いの価値観なども含め、語り合ってきたことが多く、だからお互いに言えることも多いと思います。

6月8日から始まる津田君の展覧会では、昨年とは違った津田君の作品を見ることができると思っています。また、会期も1か月以上ありますので、僕自身、最初に見た時と1か月後に見た時とでは受け取る印象も違うはずで、会場構成のプレッシャーを感じていますが、やはり作品が待ち遠しい。すごく楽しみにしています。

津田 山本君との展示を、たくさんの方に見ていただきたいです。

山本 今日はどうも有り難うございました。

津田 有難うございました。

インタビューを終えて

「暮らしの中で使う」を基本とした津田君の作品には、自身の生活感と感性がしっかりと込められていることを改めて感じた。 こうした感性から作り出される作品は、使い手の肌に馴染み、暮らしにすんなりと溶け込んでいく。 時に作り手と使い手との間に距離を感じる時もあるが、近年の津田君の器にはそれがない。 それはきっと、作り手である津田君の思いが使い手にきちんと伝わっているからだろう。

山本忠臣

2000年、三重県伊賀市にて「ギャラリーやまほん」を開廊。
2011年には京都市内にて若手作家の発表の場として「うつわ京都やまほん」を開廊する。
また設計事務所、工務店などの勤務経験から現在、住宅や店舗などの建築設計も手掛けている。
» ギャラリーやまほん

津田清和 硝子への眼差し

津田清和 硝子への眼差し

2013/6/8(土)〜7/21(日)
@ギャラリーやまほん

会期中休廊日 火曜日
回廊時間 11:00 - 17:30

gallery yamahon
518-1325 三重県伊賀市丸柱1650
tel/fax 0595-44-1911
http://www.gallery-yamahon.com/