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現代の住空間に合うものを
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根本
もうすぐ銀座の「日々」で、成田さんの作品展を開いていただく予定ですが、今回はどんなことを考えていらっしゃいますか。成田
フライパンやお皿などはもちろんですが、今回はインテリア的なものも充実させたいです。壁掛け、花器、花台、棚など。根本
日々は土壁の空間ですし、土壁と鉄というのも合いますよね。骨董品屋さんに行くと、鉄の古い道具、自在鉤(かぎ)とか鎖の吊り具、手燭など手に入りますが、そのものは素敵でも、現代の住空間の中ではちょっと無骨で違和感あったりします。それが、成田さんのつくられるものは、すごく洗練されている。自在鉤も線の細さが美しく、素材感を感じさせつつ重すぎない。そこは意識的にされていることですか。ともすると、素材って見せたくなりますよね。ある程度のボリュームとか存在感を出したくなるというか。成田
細くても近づけば負けないぞっていうくらいのテクスチャーは出しているつもりです。僕の中では、女性が使いやすい道具という考えもあって、重たいとか、無骨なのはちょっと違うなという感じです。でも、作品展には必ず男性も足を運んでくださるので、今の住空間に合うと感じてもらえているのかなと。根本
フックやタオル掛けなどもつくっていらっしゃいますけど、それは要望があってつくり始めたものですか。成田
そうですね。もともと考えてつくっていたものもあるのですが、寸法やそれぞれの空間のニーズに対応しているうちに、アイテムは増えています。今回の作品展では、住空間に合うようなものもいくつか提案できればと。タオル掛けなど、壁に取り付けるものも、少しですが用意するつもりです。根本
今回の作品展では、成田さんの作品を通して、鉄という素材の面白さを知っていただけたらなと思っています。まずフライパンを使っていただけると、鉄を身近に感じていただけるでしょうし、それによって、暮らしの道具として鉄の認知度が広がっていくといいなと考えています。
今日はどうも有難うございました。
成田理俊作品展
2012年11月23日(金)〜28日(水)
思い描く形があっても実現できないことが常々。
そして、大概はまた同じ形ができる。
素材や技法、技量の制限がある中、失敗を重ね、
それが記憶となり、できなかったことを
一つ一つできるようにしていく。
そんな繰り返しです。
ー 成田理俊
» エポカ ザ ショップ銀座 日々
03-3573-3417
東京都中央区銀座5-5-13
●地下鉄 銀座駅B6出口より3分
インタビューを終えて
成田さんの仕事は、ハードな印象から想像できないくらい手触り、
音を聞くことが欠かせない作業で仕上げには五感が必要と伺って、驚きました。
昔から変わらない方法を元に、素材に対してのめり込まず距離感を持ち、
使い手がいることを考えデザインされた物は結果として、
鉄の特性を十分発揮した道具に仕上がっているんだと思いました。
根本美恵子
ギャラリー勤務を経て、2004年エポカザショップ銀座・日々のスタートとともに、コーディネーターを勤める。
数多くの作り手と親交があり、日々の企画展で紹介している。
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