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Interview 佃 眞吾/聞き手:根本美恵子さん (ギャラリー「日々」 コーディネーター)

求めて出合う、木の仕事

国展は時代を超えたつながり
モダニズムの意識
佃 眞吾:国画賞

根本
佃さんは、日常に使いやすいものをつくっていらっしゃる一方で、ここ何年か、国画会*3にも作品を出展なさっています。どういう思いでつくられているのですか?


完全に普段の仕事と切り替えています。僕にとって国画会は、年に1回、売るためのものというよりは、つくりたいものをテーマにつくるという機会。普段なかなかできないことなので。ただ、全く使えないものというわけでもなくて、普段やっていることの延長で、作品的なものをつくっているということです。

根本
評価とか、受賞とかは、意識されるのでしょうか?


僕はそういうことは目的ではないですね。関わることが、昔そこにいらした作家さん、芹沢銈介さん*4とか黒田辰秋さんとか、そういう人たちとつながっていくのかなという気持ちもあって、「モダニズム」っていう感じでつくっているんです。彼らの影響を受けながら、今の時代だったら僕ならこうです、みたいなことがしたいんです。

根本
それは必要なことですよね。いつの時代にも、そういうことがあって、継承されていくものがあるべきですものね。


そういうものをつくって、自分で自分を発見していこう、ということにもなります。

根本
若い方の参加も増えているんですか?


多くなっていますね。富井貴志さん*5も出されています。

根本
木工作家さんの作品展が、最近かなり増えましたよね。漆という仕事でくくられてきたものが、ここ10年くらいで、木工と漆の違いがはっきりしてきました。全体的に木工のものが市場に出る機会が増えて、人々が使ってみたいというきっかけにもなっている。そこは三谷龍二さん*6のような作家さんの影響もありますよね。三谷さんのつくったものを見て、こういう木工の提案なら使ってみたい、あるいはつくってみたいという人たちが増えてきた。


三谷さんの影響はものすごく大きいです。こういうものづくりで食べていけるんだ、という一つの道をつくられた。

根本
そうですね。


昔は、木工といえば、家具だったわけですよ。シェーカーみたいな家具とか、椅子、テーブルなど大きなものが多かった。今は、家具をやりつつ、器とかテーブルの上で使うものもやるという人が増えました。

根本
木工をやる人はすごく多くなったように感じますが、設備的に木工は始めやすいのですか?


焼き物に比べたら、木工は機械を使うので設備にお金がかかります。材料費も高いですから、初期はリスクが大きいと思います。

根本
新しいものをつくる時も、まず道具を考えたり、調達したりということになりますね。


そこは投資ですよね。そういうことが必要になってくる時はあるので。道具の数が、自分の指の数という感じです。

佃 眞吾:工房風景

佃 眞吾:工房風景

※3:国画会
1918年に「国画創作協会」として結成された美術団体。現在は絵画部、版画部、彫刻部、工芸部、写真部の5つがあり、主催する展覧会が「国展」。

※4:芹沢銈介
せりざわけいすけ 1895~1984年静岡生まれ。染色工芸家。民藝運動に参加。「型絵染」によって重要無形文化財保持者(人間国宝)。

※5:富井貴志
とみいたかし 1976年新潟生まれ。木工家。工房は京都・南山城村。

※5:三谷龍二
みたにりゅうじ 1952年福井生まれ。木工デザイナー。普段使いの木の器を提案。「クラフトフェアまつもと」の運営など、工芸と暮らしを結びつける活動を続ける。

佃眞吾作品展

佃眞吾作品展

2012.11.9~14
@エポカ ザ ショップ銀座 日々

2012年11月9日(金)〜14日(水)

「木は植物です。
五感で見る事のできる素材。
落ち着きさえ感じさせる木目に
魅入ってしまうことがあります。
昔から、木の文様を「杢」(もく)、
木肌の変化を「産つ」(そだつ)と
愛でられてきました。
無意識のうちに手にとってみたくなるのは、
そのためでしょうね。」
ー 佃眞吾

» エポカ ザ ショップ銀座 日々
03-3573-3417
東京都中央区銀座5-5-13
●地下鉄 銀座駅B6出口より3分