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Interview 佃 眞吾/聞き手:根本美恵子さん (ギャラリー「日々」 コーディネーター)

求めて出合う、木の仕事

精度を必要とする指物、
彫刻のような感覚でする刳物
佃 眞吾:インタビュー風景

根本
今は材料の調達はどうされているのですか?


この近辺にある材木屋さんから買っています。銘木など特に珍しいものを扱うところが1軒と、よく使う栗の原木を扱うところが1軒、主にその2軒から買っています。つきあいが長いので先方も僕の好みを知っていらして、黒柿のような銘木とか、木目が珍しいとか樹齢があって径が大きいとか、工芸向きの材を集めてくれます。

根本
最初に材料ありきですか? それともつくりたい形が優先ですか?


両方です。箱ものとか、造形的でないものは、材料ありきです。逆に造形的なもの、深さのあるものなど、形をつくりたいものは、それに合わせて材料を探します。大きい材や塊を買ったりします。

根本
佃さんの仕事は、作品の守備範囲が広いですよね。下仕事はどうされているのですか?


近くに製材所がありますから、板材などは、僕が買っている材木屋さんがそこで厚みを合わせて製材してくれます。

根本
どういった作業が好きですか?


刳物の仕事で好きなのは、四角くないもの、ちょっと形がつくれるもの。指物では、木目を生かせる仕事。シンプルな箱ものをつくる時は面白いですね。

根本
漠然とですが、刳物の仕事は塊を減らすいわばマイナスの作業で、そこに入っていく集中力を要求するようなイメージ。逆に、指物の仕事は、精密に組み上げていくわけで、緊張感のあるイメージ。かかるエネルギーの質が違うような気がします。


全然違いますね。指物だとミリ単位の仕事ですから、精度が必要になってきます。刳物というのは大らかな彫刻に近い感じ。感覚でする仕事です。

根本
作業は並列しているのですか?


全く別です。指物は、ちょっとしたことで雰囲気がかわるんですね。そのちょっとしたことっていうのは、なかなか口では言えないことなんですけど。その大きさによっての厚みですとか高さですとか、その辺のことが、その物自体をつかんでおかないとすごくアンバランスなものになってしまうんです。

根本
その美しさの決まる、普遍的なデザインのルーツは、古い歴史の中にあるのですか?


それはありますけれど、そのままやってもしょうがない。その物のよさを自分の中で捉えて、今の時代だったらこうしよう、というように自分なりにアレンジします。

根本
指物の古い棚などを見ると、どうやってつくってあるのか全然わからない見事さがあって、難しそうにも見えます。


昔の人は、そんなに難しいことはしてないですよ。全部、基本の応用なんです。

根本
指物と刳物の両方をやる魅力とは?


全く違うものができるのは魅力ですね。刳物では全然できないことが、指物ではできるし。それを知ってしまうと楽しいですね。

刳物と指物、それぞれに
全く違うものができる魅力
佃 眞吾:刳物の箱

佃 眞吾:指物の箱
佃眞吾作品展

佃眞吾作品展

2012.11.9~14
@エポカ ザ ショップ銀座 日々

2012年11月9日(金)〜14日(水)

「木は植物です。
五感で見る事のできる素材。
落ち着きさえ感じさせる木目に
魅入ってしまうことがあります。
昔から、木の文様を「杢」(もく)、
木肌の変化を「産つ」(そだつ)と
愛でられてきました。
無意識のうちに手にとってみたくなるのは、
そのためでしょうね。」
ー 佃眞吾

» エポカ ザ ショップ銀座 日々
03-3573-3417
東京都中央区銀座5-5-13
●地下鉄 銀座駅B6出口より3分