panorama

Exhibition Report / Reported by m.makino

鎌田奈穂展 2013年11月1日(金)〜6日(水) / エポカザショップ日々/銀座

銀座ギャラリー日々で開かれていた、金工の鎌田奈穂さんの個展を見に行きました。

ギャラリー日々は、エポカザショップ銀座の地下にあります。
並木通りに面する1階入口脇には、小さなディスプレイがあり、毎回の個展の作品が並びます。
小さなスプーンに、蓋物、茶碗、そしてジュエリーが並んでいました。
毎回ここを覗いては、個展への期待感を高め店内に入ります。

店内への降りる階段には、オーナメントが飾られていました。
銅に金箔、貝粉を施した、panoramaインタビューで、鎌田さんが掌に乗せていた作品です。
白い和紙をバックにしただけの、シンプルで控えめな飾り方は、
作品のもつ雰囲気に似合っていてとても素敵でした。

会場風景

出品作品としては、茶道具類、皿、箱、カトラリー、花入れ、
オーナメント、蓋物、ジュエリーなどが展示してありました。

会場風景

鎌田さんは、金工による茶道具を作られていた長谷川竹次郎さんの元で修行されていたこともあり、
現在でも茶道具に関するお仕事をされています。
今回の個展でも、素敵な茶碗、茶筅筒、布巾筒などが並びました。
中でも、圧巻なのは網代模様を思わせる茶筅筒です。

作り方を鎌田さんに伺ったところ、想像していたものとは違っていました。
棒状の銀の板を組みあわせて作るのではなく、板物に一つずつ穴を開け切っていくのだそうです。
穴を開けると言えば簡単ですが、鎌田さんの場合は始点となる穴を開け、
そこから糸鋸を使い切り広げていきます。
一つの枠を終えたら糸鋸をセットし直し次の枠へ、そしてまた一つと進んでいきます。
力を入れ過ぎたり時間を急げば、切り取られた枠に影響が出るでしょう。
丁寧な丁寧な物づくりが必要です。 ご本人曰く、
様々な工程の中でもこの手間と時間のかかる糸鋸の作業が一番好きなのだそうです。

会場風景

木工作家の林友子さんとのコラボで作られた、プレートの額装も素敵です。
茶筅筒と同じ方法で切り取った模様のいくつかを継ぎ合せ、
林さんの泥彩木工という技法で作られた額と組み合わされています。
黒と言う色ではあるものの、泥彩のもつ温かみが銀彩を引き立たせていました。

会場風景

大迫友紀さんに制作をお願いしたというガラスの蓋物は、茶入れだそうです。
サイズ等を細かく指定して出来上がったものに、鎌田さんの装飾蓋が組まれます。
大迫さんはガラスカットの技術が素晴らしい方で、作品のファンも多くいらっしゃいます。
凛としたかたちの中に、さりげなく添えられた蓋がとてもよく似合っていました。

会場風景

今回の個展を日々さんで開くきっかけとなった、真鍮の栞も出品されていました。
細やかに打ち付けられた文様は、見飽きることのない作品となり
本に挟むだけでは勿体ないような気がします。
会場にいらした男性のお客様が、真鍮の丸いプレートを手に取り壁に向かって掲げていました。
お皿としてではなく、飾るための作品として買い求められました。
栞もこんな用途として購入するのも、良いかもしれません。

会場風景

他に定番のカトラリーシリーズとして、スプーンやフォークなどが出品されていました。
ジュエリーの展示品の中に、販売用ではないネックレスが置いてありました。
ギャラリーの方が、私物で使っているシルバーのもので、落ち着いた程よい黒味を帯びていました。
銀や真鍮、銅のものは、金や白金などとは違って、経年変化していく素材です。
月日の経過とともに色の変化を楽しみ、長く使っていきたいものだと思いました。

会場風景

Reported by m.makino