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Feature 光藤さんの茶碗でいただく「濃茶と薄茶」


文・構成:竹内典子 / Nov. 2015

光藤佐さんの作品展がギャラリー日々にて開かれた11月半ば。光藤さんの長年の知人であり、数寄人であるA氏宅の茶室にて、お茶会が行われました。招かれたのは、光藤さんと日々の根本美恵子さん。光藤さんの志野茶碗で濃茶を、瀬戸黒茶碗で薄茶をいただくことに。茶碗に花入に、光藤さんの作品をよく知るA氏のおもてなしです。

小間(こま)

3畳小間はわびの世界。炉には吊り釜を、備前焼の半月水指には、紙布の仕覆を着せた鷲棗の取り合わせ。掛物は、沢庵和尚と松華堂昭乗との和歌のやり取り。京都・男山八幡瀧本坊の屏風から幕末に書き写されたもの。白玉椿、薮茗荷、野路菊を生けた花入は、光藤さんの作品で、伊賀土の手びねり。

広間

「わびさびの小間に対して、四畳半の本間は、キリッとした趣に」。床の掛物は杜甫の詩の一節「用拙存吾道」で、江戸後期の茶人、久田宗参の筆。光藤さんの作品、瑠璃の面取り花入に、庭に咲く西王母椿、日向水木、紅葦を生けて。
この日の菓子は、和菓子店「まほろ堂 蒼月」のもの。濃茶の菓子に「山茶花」を黄瀬戸皿で、「秋深し」を刷毛目皿でいただく。薄茶の「柿の葉餅」の盛鉢もすべて光藤さんの作品。

濃茶

濃茶には大振りの志野茶碗。それに合わせて茶杓も、長い大振りのものを選んだという。まさに練るようにして点てられた「臥竜山」という銘柄のお茶をいただく。自作の志野茶碗で濃茶をいただくのは初めてという光藤さんは、感慨深い面持ちで静かに味わう。

薄茶

薄茶をいただくのは筒型の瀬戸黒茶碗。「引出黒」とも呼ばれ、鉄釉を掛けて焼成中、釉薬が融けている最中に茶碗を引き出し、水に浸けて急冷して、真っ黒に発色させるという手法で作られる。この瀬戸黒もやや大振りで、「山道」といわれる茶碗の縁のうねりも大らかな光藤さんらしさを感じる作品。茶器は、鹿の蒔絵を施した平棗。

無心に作っているうちにできた茶碗、それが飲みやすく点てやすかったらよい茶碗と言っていいと思います。触れてみないとわからない重さや姿、高台や口作り。茶碗の魅力は奥深く、光藤さんはこれからも発展し挑戦し続けるのでしょう。

根本美恵子(ギャラリー「日々」コーディネーター)

瀬戸黒茶碗

その色艶、山道と呼ばれる口縁のうねり、掌に抱く感触など、同じものはない1点物です。
志野茶碗

力強さが目を引く志野ですが、光藤さんの志野にはおおらかさ、やわらかさも偲ばれます。