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Exhibition Report / Reported by m.makino

津田清和 硝子展 2012年10月5日(金)〜10月9日(火)  » 桃居

今回のリポートは、西麻布の桃居さんで開催されているガラス作家の津田清和さんの個展。
会場に入ると、そのアイテム数の多さに驚く。
花器、ボウル、小鉢、片口、コップ、蓋物、酒器、お皿など豊富な作品展開。
そしてコップ一つを見ても、たくさんのデザインやサイズがある。
いままで津田さんの作品を、何度か目にすることはあったが、
今回のように作品の種類、豊富なデザインやサイズ展開を目にしたのは初めて。

会場風景

青銅と見間違うような青錆色の筒型をした蓋物の作品。
蓋を取るとお香が入っていて、蓋の裏面にはお香を立てられるように細工がしてある。
ガラスの表面に金属を焼き付け、ガラス本来の生地を隠してある作品。
中を見て初めてガラスだと気づく。
その他、表面は燻し銀のような色で、内側が黄土色をした作品などもあり、
ガラスの意外性を表わした作品たちは、ガラスの透明性や光の透過性など、
微塵も感じないとても個性的な作品で面白い。

会場風景

花器は、黒天目の陶器を思わせるような黒と擦りガラスのような不透明な白の対照的な色があった。
だけど、どちらも形はころんとしたフォルムで掌に納めたくなるような可愛さ。
ぽてっとした表面も、優しい風合いで撫でたくなる。

会場風景

クリアなコップやボウルは、モール(鋳造の型で形を作ったもの)で様々な文様が描かれていて、
好みの柄を見つけることができそうだ。
片口には、鎚目といって表面に非常に細かなカットを施した作品もあり、
手にした時の程よい感触が心地よい。

会場風景

見えないくらいの小さな泡の粒が、きれいに螺旋状の輪となって表現された作品は、
あわのわ(輪)と名付けられている作品。
これだけの細かな泡を、いったいどうやって作るのだろう。
今回は残念ながら会えなかった津田さん本人に、次回聞いてみたいと思った。

会場風景

個展案内に添えられていた津田さんの言葉には、こう書かれていた。
「僕のものづくりに難しい理論や思想はありません。
自分が側に置いて使いたいものをつくっています。
そう言うと、なんてことない一個人のものつくりに聞こえるかもしれませんが、
これが僕にとっての真理であり真実なのです。」

「自分が側に置いて使いたいもの」は、私たちみる側にも言える言葉。
津田さんの作品は、ガラスの多様な姿を見せてくれる楽しい世界感があり、
側に置きたいと思う作品のひとつである。

会場風景

会場風景

会場風景

Photo & Reported by m.makino