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  • 上野雄次 花いけ教室 @而今禾
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Report / 上野雄次 花いけ教室 @JikonkaTOKYO update : 2012.05

JikonkaTOKYOの本店(而今禾)があるのは、古い宿場町の面影を残す三重県の関宿。築150 年という風情ある日本家屋の店内では、心地よい暮らしの道具とオーガニックの料理を出すカフェが併設されている。

その而今禾が東京に店を出したのは2010 年の6月。深沢の桜並木から路地裏に入ると、白壁のメタルプレートにJikonka TOKYOの文字が見える。白いキュービックスタイルの建物は関宿の本店とは対照的なモダンな一軒家。ここでは、古い道具と暮らしの器と服を扱うほか、花道家・上野雄次さんの花いけ教室が行われている。

Text:峯岸弓子 Photo:大隅圭介

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上野雄次さんは、花道家として二つの側面を持つ。

花という素材を使って自らの内面を表現するライブパフォーマーとしての動の側面、もうひとつは器と対話しながら花で空間を構築する静の側面。

ここJikonkaTOKYOで行われる花いけ教室では、上野さんが持つ静の世界に触れることが出来る。

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花いけ教室が行われるのはギャラリーとして使われている半地下のスペース。テーブルの上や壁際の棚には、作家物の器類の他にヨーロッパの古いガラス瓶や水筒、果てには土器にいたるまで、「器」として使えそうなありとあらゆる道具類が並ぶ。普通の生け花教室と大きく違うのは、こうした個性的で魅力ある器類を花器として使えることだ。ただし、全てはギャラリーの商材であり高価な物も含まれるため、扱いは慎重に。

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花をいける場所は壁を背にした台の上、あるいは棚の上。基本的には壁を背に花いけの空間が展開される。なぜかといえば「生け花はもともと床の間という空間を構成することで成熟した文化だから」と、上野さん。もちろん、テーブルや床の上など、上から眺めるシチュエーションでいけることも可能だ。おのおのいける場所と花器を選んで、いよいよ花いけの準備へ。

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場所が決まれば今度は花材選び。
華やかな洋花から、可憐な和の草花や大ぶりな枝ものまで20 数種の花材から選ぶことができる。
この時点で選ばなければいけない要素は、器、場、花材の3つ。花材なのか器なのか、または場なのか、花をいけるインスピレーションの軸をひとつに絞るのがコツ、なのだそう。

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花は数本ずつ束になっているため、バケツから一本だけ引き抜くと葉や茎を傷めてしまう。
一旦、束ごとバケツから出して台の上で広げ、花の付き具合や枝の曲がり具合なども見極めながら、一本、一本、丁寧に花を選んでゆく。

本日の参加者は5名。各々、好みの場と花器と花を選んで花をいけてゆく。
花のいけ方について上野さんから事前の教授はない。

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心の赴くまま自由に花をいける。花器はいくつ使ってもよい。
同じ花を違う花器にいけ換えてみたり、まるで趣の違う花いけにトライしてみたり……。

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花をいける時はみな一心。花と器に向かいながら、自分の心にも向き合っていく。

花いけを終えた後、上野さんからアドバイスをもらう。
上野さんはいけた花とじっくり向き合い、対話をして、
花いけに込められたストーリーを少しずつ紐解いていく。

  • 上野雄次 花いけ教室 @而今禾
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花いけ教室の後は、2階のギャラリーで上野さんのデモンストレーションが始まる。

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この日つかった花材は雲龍。
一回目は四方八方に暴れる枝を生かして野性味のある花いけを。

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同じ雲龍を使った二度目の花いけ。
暴れている枝を整理して、大胆に落としていく。
次第に、おもしろい枝の流れがみえてくる。
向かって右に流れる枝の動きにあわせて菜の花を差す。
惜しみなく大胆に枝を落とす様子に一同、溜息。
その様子を見た上野さん、「取り返しがつかないのが花いけの醍醐味でもあります」と、ひと言。
同時に、「いただいた命は生かし切ってあげたい」とも。
その言葉には上野さんの花に対する真摯な想いが込められている。

上野雄次さんの花いけについて

上野さんとは、陶芸家の故青木亮さんを介して知り合いました。青木さんの法要が行われた時、遺作の壺や器に上野さんが花をいけていました。それから5年ほど後にJikonkaTOKYO がオープン。こけら落としとして青木亮さんの展覧会を開いたのですが、この時に上野さんから声をかけていただき、作品に花をいけていただいたのが最初のお付き合いです。

上野さんの花いけでは、器に対する視野の広さに感心させられますね。花をいけることによって器がひきたてられたり、これまでと違うよい面が見えてきたり。今度はどんな器の魅力が引き出されるのか、毎回期待してお願いしています。

花いけ教室では、生徒さんの花いけに対する上野さんの情緒的でわかりやすい説明も魅力です。普段の生活で気に入った湯飲みや茶碗を使うように、参加された方に花いけの楽しみを体感していただけたら幸いです。

JikonkaTOKYO オーナー 西川弘修

JikonkaTOKYO
http://www.jikonka.com
158-0081 東京都世田谷区深沢7-15-6
TEL&FAX 03-6809-7475
OPEN:12:00―18:00 CLOSED:火・水・木

而今禾 ー TOKYO

花いけ教室 @ JikonkaTOKYOのお申し込みについて
毎月第3 金・土・日
(金) 15:00~
(土) 12:00~ / 15:00~
(日) 11:00~ / 14:00~

受講料
1回:5000円+花代

申し込み先
E-mail(上野): ug..........ueno[at]docomo.ne.jp
※メールアドレスの[at]は半角のアットマーク(@)に変えてお送りください
Tel(JikonkaTOKYO): 03-6809-7475


上野雄次HP
http://ugueno.net/

はないけに少し興味ある方や、一度行ってみようかなという方もお気軽に遊びにいらして下さい。