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Exhibition Report / Reported by Eri DEWA

第54回ヴェネチア・ビエンナーレレポート

この度のファエンツァ国際陶芸展の授賞式と、ヴェネチア・ビエンナーレの
会期がちょうど重なっていたため、3日間ヴェネチア・ビエンナーレに行ってきました。
憧れのビエンナーレに行くことができとても嬉しかったのですが、
実際は広大な会場をまわることで精一杯でした。
今回、さまざまな国のアートに直に触れることで、
その国のアイデンティティーや主張、
そこから発生するアートの力を体感することができ、とても楽しかったです。
ここで、気になった作品、惹かれた作品の一部をご紹介したいと思います。

企画展のテーマ『ILLUMInations』

企画展『ILLUMInations』のタイトルはイルミネーション(光)とネイションズ(国家)を掛け合わせたもので、物理的および理性的な光がもたらした現代美術の現在の姿と、国家についての考察となっている。

ジャルディーニ地区のビエンナーレ看板。

テレビの画面にガラス板をのせて、
絵の具を置く。具象から抽象へ。
美しい作品です。

アメリカ館:
ジェニファー・アローラ&ギレルモ・カルサディーラ
《トラックとフィールド》
60トン戦車の上でフィットネス、パフォーマンス。残念ながらパフォーマンスは見れませんでした!

アメリカ館:
ジェニファー・アローラ&
ギレルモ・カルサディーラ
《Algorithm》
ATMとパイプオルガンが連結されていて、誰かが現金を引き出そうとすると、パイプオルガンが音を奏でる仕組み。
宗教の変わりに金が崇拝の対象となっている、金融取引を音楽に変換することで公的にする、ということのようです。

アニメーションの次々と起こる事柄に、
目が釘付けになりました。

日本館:
束芋
《てれこスープ》
日本館の独特な建築構造とアニメーションという日本文化による、現在の日本を体現するインスタレーション。水に浸る街は、ヴェネチアの都市のイメージですが、やはり津波を連想してしまいます。

金獅子賞国別部門
ドイツ館:
クリストフ・シュリンゲンズィーフ
《恐怖の教会VS
心中の化け物》
会場の負のオーラに圧倒されました。超強力空間、インスタレーション。

イギリス館:
マイク・ネルソン
《我、詐欺師なり》
まるでお化け屋敷の迷路のようなつくりでした。内容はあまり理解できなかったですが、再現力に驚きました。

フランス館:
クリスチャン・ボルタンスキー
《運》
好きな作家の一人です。想像していた展示の雰囲気と違っていましたが、とてもかっこいい装置でした。

蝋で作られた作品です。閉幕するころにはどうなっているのでしょうか!?気になります。

金獅子賞
クリスチャン・マークレー
《The Clock》
アメリカ
最初はよく分からないのですが、徐々に明らかになっていく作品。気づく喜びによって作品の鑑賞が始まります。非常に面白く、今回最も惹かれた作品の一つです。

ジェラティン
《ジェラティン・パビリオン
ーお熱いのがお好き》
オーストリア
窯が気になって立ち止まりました。24時間ガラスを溶かして、芝生の上に溜めていくパフォーマンスです。このようなことをやってしまう心意気が素敵だと思います。ぜひ観てみたかったです。

最後に一つ、悔やまれることが。
大好きな作家の一人、アニッシュ・カプーアの作品《昇天》、
閉館時間ギリギリに会場に到着してしまい見そびれたこと。
かなり落ち込みました。
また、当時は、中国当局に身柄を拘束されていた
現代芸術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏に対する
横断幕などによる呼びかけが印象的でした。

Photo & Reported by Eri DEWA