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橋本
僕が今日、こうして八代さんのご自宅にお邪魔したというのも、八代さんがどのような家具を使っているのか、ということに興味があったんです。ずっと前のことですが、確か八代さんがまだ学生の頃に、名古屋の方へ来られて住宅の床に漆を塗ったことがありましたね。こちらのご自宅でも漆塗りの古い家具をお使いですけど、八代さんは家具の仕事をされても面白いんじゃないかと思っていたんです。八代
それは、以前からよく言われます。この家の設計士さんからも、私のつくる漆皿の肌合いで家具をつくってほしいと言われました。橋本
そうですか。家具作家の方と一緒に、八代さんのデザインでつくってみても素敵でしょうね。八代
私は知らなかったんですけど、軽井沢とか小諸とか、信州は木工作家がすごく多いエリアなんです。それでネットで調べてみたらご近所にもいらして、何人かの方とコンタクトをとって、ちょっと小さなことをお願いしているんです。すぐには難しいかもしれないですけど、ゆくゆくはそういう方と家具づくりもできたらいいですよね。それと、人にお願いしてつくっていくものとは別に、自分一人でできるようなちょっとした家具のようなものもつくりたいと思ってます。彫刻的な要素の家具があってもいいかなと。 -
木工家とのコラボや
独自の家具にも挑戦したい。
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橋本
いいですね。それも新しい感覚ですよね。伝統工芸の木工というのは、すごくきっちりしているでしょう。僕は家具の中では、李朝家具が一番好きです。あのざっくりした感じがいいんですよね。八代
日本の木工技術は、何ミクロンの世界ですよね。皆さんきっちりやっていらっしゃるので、私のこのアバウトな感覚で、こういう風にやってほしいんですとはまだちょっと勇気がなくて言えません。でも、世界観が歩み寄れるような方との出会いがあるといいなと思います。橋本
仕事をしていると、自然とそういう出会いもあるんじゃないですか。家具をつくっている人の中にも、誰かと協働してものをつくりたいと思っている人もいますから。八代
そうですね。橋本
ところで、10月の橋本美術での個展についてですが、今日こうしてお話してみて、どういうものが並ぶのか楽しみになってきました。八代
今回は器をはじめ、器以外のものも、これまでより少し多めに出そうかと考えています。壁面のものなどは、器のように水漏れに気を遣う必要がないので防水性から開放されるところもありますし、その辺りを少し遊べたらと。橋本
前回のうちでの個展から3年くらい経ちますから、八代さんの作品がどういうふうに変化してきたのか、そこも楽しみにしています。今日はどうも有り難うございました。