へぎ材の魅力は、素材(日本檜)に内在する構造的な美しさで、慎重に裂くことによって自然な表情が生まれます。
特徴的なのは「割り裂く」だけでなく「割り戻し」を用いていること。 それによって、作品の幅が大きく広がっています。
そしてもう一つの特徴は、あえて節のある材を使う点にあります。
"節を活かす造形"それが工藤茂喜の"へぎ作品の魅力"にもなっています。
素材そのものの味わいを活かし、用途性を付加した、おおらかで彫刻的な造形です。
一木を複数枚にへぐことで生まれる重ね『皿』
重ねた状態は、究極のスタッキング。
広げるとどれ一つとして同じ表情のものはなく、
重ねた時と広げた時の変化は、
トリックのように思える位、変化に富んでいます。
各々の皿の底面は、安定が良いように、少し削ってあり、
密やかな隠しマークのような数字が刻まれ(刻印され)ていて、
順番が分かるようになっています。
身と蓋が一木(いちもく)から作られる『箱』
身と蓋を合わせると、吸い付くように、
やさしく、ぴったりと重なります。
どれも彫刻的でオブジェ性の強い造形ですが、
大事なものを入れる箱として使ってみたいと
思わせる魅力があります。
割り裂き、刳(く)り貫き、割り戻して作られる『筒』
固まりをへいで外形を作り、それを縦2つに"割り裂き"、底部を残し"刳り貫き"、漆で"割り戻し"して成形されています。
猪口や片口などの飲み物や、花入れなど、中に液体を入れるために、内部はしっかりとした塗りの仕上げになっています。
作品一覧
漆塗りの技法書
掛花・小
へぎ片口(錆)
へぎ片口(黒)
へぎ猪口(錆)
へぎ猪口(黒)
へぎ猪口
手酌筒(ずんどう)
重ね溜塗り皿
黒の長皿
へぎ盤
雪屋
赤い家
木鑑(もっかん)
亀
方丈箱(2段)
目の箱