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Exhibition Report / Reported by m.makino

「竹内紘三・田淵太郎 二人展」
2011.9.30-10.4
@桃居/西麻布
» 桃居

「竹内紘三 個展」
2011.9.30-10.5
@ 日々/銀座
» 日々 -にちにち-

「竹内紘三・田淵太郎 二人展」「竹内紘三個展」

「竹内紘三 田淵太郎 二人展」と「竹内紘三 個展」。
ほぼ同時開催と言う、面白い試みの展示会。

先に訪れたのは、二人展の西麻布桃居。
田淵さんの白磁と竹内さんの陶器、色で言えば白と黒の世界。
薪窯を使って、白磁に窯変を追い求める田淵作品。
陶土を使い、たたら作りで複雑な立体のオブジェを展開する竹内作品。

会場風景

私が桃居を訪れたときは搬入を終えたばかりで、
作家の二人はもう一つの会場である銀座の日々に向かったあとだった。
二人の作品は、対比するような形で展示されていて、
それらはどの位置から見てもバランスがよく配置されていた。

会場風景 田淵さんの作品を見るのは初めて。
彼が追い求める白磁の窯変の美しさを、自分がどう感じるのか楽しみだった。
薪窯で、作品をダイレクトに焼く田淵さんの作品は、実に妖艶だった。
窯変によって出てきた色は、白、黄、グレー、ピンク、青、紫と、
一つとして同じ色をしていない。
焼成時の灰がかぶった作品があり、薪窯の荒々しさが出ている。
それとは反対に、作品の表面をこれほどまでに?と思うほど
自然灰を削り取った作品は、穏やかで、柔らかみがあり、思わず撫でたくなる。

会場風景 竹内さんの作品を見るのは、2007年のギャラリー介での個展以来。
その時は、白磁のみの作品展開だったので、陶土の作品は初めてみる。
竹内さんは、年の何回かを田淵さんの薪窯で一緒に作品を焼き、
今回展示された作品の多くもそうであると聞く。
薪窯焼成された作品の表面を削った姿や、陶土に化粧土を施し 
焼成されたその変化を楽しむことが出来、その力強さを感じた。

対応をしていただいた桃居店主の広瀬さんは、並び終えた作品を前にしてとても満足した様子だった。
二人展はお互いの作品を生かすことも、時としてその反対もある。
そう考えたとき、今回の二人展が間違いなく前者であるのを作品から、そして広瀬さんからも感じた。
また何年後かに、同じ企画展を見てみたいと思った。

西麻布桃居をあとにして、銀座の日々さんの「竹内紘三 個展」に向かう
日々さんでは、桃居さんとうって変わって白磁の作品が並ぶ。
階段下正面に置かれた幾何学的なオブジェ。
このシリーズのオブジェ作品を初めて見たとき、目を奪われてしまったときの事を思い出した。
そして、4年ぶりに見た白磁の器は、形のバリエーションも増え、そのフォルムは更に素敵に変化を見せていた。

会場風景

綺麗に挽かれた器は、高台までもがデザインとして一体化していて、どれもシャープで美しい。
けれど、釉薬がポテッと溜まった部分は、何とも言えず可愛い。

日々さんでは、展示準備を終えた竹内さんと田淵さんが出迎えてくれた。
4年ぶりに会った竹内さんは、少しワイルドになったように思った。
香川県の田淵さん、兵庫県の竹内さん、大阪芸術大学での同級生だった二人。
二人とも、きっと良き仲間で良きライバルなのだろう。
竹内君と田淵君。そんな呼び方が似合う笑顔の二人だった。
桃居さんでの展示配置の仕方で場所取りの鬩ぎ合いがあったと、
竹内さんが笑いながら話してくれ、田淵さんの言葉で更に笑いが広がる。
桃居さんで二人の作品を見ていて「何だろうこの心地よさは?」と考えていた答えを、
二人の掛け合いを聞いていて見つけた気がした。

会場風景 田淵さんに気になった作品について、質問をした。
薪窯窯変とは違う、意図した部分を感じさせる作品だった。
それは、薪窯焼成の時に隣に並んで置いた竹内さんの作品が、
田淵さんの作品に倒れてくっつき、
それを剥がした痕跡だと教えてくれた。
もちろん剥がすときには、どちらかの作品を
壊さなければならず、その結果がこの作品だった。
こんなところにも二人の掛け合いを感じた。

魅力ある二人の作品を存分に味わえる展示会です。
是非とも、2軒をはしごしてご覧ください。

Photo & Reported by m.makino