“楚々とした”“しとやかな”ガラスの帯留めは、小粋な宝石のよう。
派手すぎない煌めきも、さり気なく細部まで行き渡るきれいな仕事も、小川郁子さんの帯留めの魅力です。
円、楕円、はっぱ、菱、長四角、六角、八角、小花、雪華、扇…、
日本的な美を思わせる輝きとフォルムは、ブロック状や板状のガラスから削り出して磨いたもの。
「宝石を目指している」という小川さんは、ひたすら丁寧に形をつくり、そこに切子文様を施します。
仕上げの金具付けは、銀線細工作家・松原智仁さんが、銀を用いて一つ一つの形に合わせています。
凛として華やかな印象の菊文様。人気の高い「菊つなぎ」は繊細な文様の単色ガラス。一方、花一輪の「菊」は、被せガラスによるコントラストも鮮やか。最も手のかかる切子「菊篭目」は、やや大きめで特別な雰囲気を添えます。
雪の澄みきった美しさに惹かれて考案したというオリジナル文様「雪」。形は六角形と雪華があり、雪の結晶のイメージです。澄んだ輝きのクリアガラス、雪の空気感をとり込んだ寒色系被せガラスがあります。
魚の卵を象ったといわれる伝統文様の「魚々子」。単色ガラスを用いた、癖のないシンプルな文様のため、形の持ち味が引き立つというのも特徴です。扇のような具体的な形に、無地感覚で合わせています。
すっきりとした文様の「星」は、シンプルでコントラストが強く、シャープな印象です。キリッとした菱形など、形が格好よく仕上がったものに、この文様はよく合います。クールな着こなしをはじめ、装いのアクセントに。
「くもの巣」は、プレーンな円の周囲にくもの巣が張ったような構図。表面には丸みがあり、帯締めに通した時、中央のプレーン部分から帯締めが浮くように見えて、使うと楽しい文様です。単色ガラスの楕円形です。
※コーディネート例です。 ※帯と帯締め(三分紐 約9mm)はサンプルです。
文・構成:竹内典子 / 写真: 大隅圭介 / 協力:小野里秀美