「日常の料理に、どんどん使ってほしいフライパンです」料理家・セトキョウコさんは、数年前から成田さんのフライパンを愛用。最初は作家の手づくり品だからと大事にし過ぎていたけれど、使っているうちに頻繁に使用する方がいいものだと気付いたそうです。「料理が美味しく仕上がって、使い馴染むと使用後に油を塗る必要もなくなって楽ですし、日常使いをお勧めしたい道具の一つです」。
日々に用いて、使いやすく美しいもの。皿や鉢、グラス、カップを選ぶように、調理道具にも目を向けてみると、調理と食卓のつながりがより深まってきます。
成田さんのフライパンのもう一つの魅力は、佇まいの美しさ。鉄を繰り返し叩いて成形する鍛鉄という技法でつくられ、シンプルで無駄がなく、飽きのこないデザイン。料理を美味しく調理する道具でありながら、使っていない状態の時も、日々の暮らしの中に心地よく存在してくれます。吊るして掛けておくと、繊細で清潔感のある佇まいは美しく、また、置いた状態よりも湿気がこもらないので錆びにくいという利点もあります。 (写真右から、フライパンより深型のアジアンパン、フライパン、フライパン返し。)
大サイズのフライパンは、たとえば魚や肉のソテーなど、食材の大きさを生かすような料理に活躍します。写真は、魚とミニトマトのソテー。一晩レモンとネギでマリネした魚はサッとソテーすると、素材感も香りも引き立ち、いつもよりちょっとおしゃれな一皿に。
中サイズのフライパンは、2~3人分の料理づくりに向いているサイズ。ふだんの料理が美味しく仕上がるので、毎日使いたくなります。写真は、ジャガイモとベーコンのバター炒め。ジャガイモはこんがりと、ベーコンはカリッと焼けて、食感や風味を楽しめます。
小サイズのフライパンは、お弁当づくりをはじめ、何かと使えて便利です。中でも卵焼きは、外側がきちんと焼けて、内側はフワッと半熟に仕上がります。調理前の温めに時間がかからず、扱いやすいサイズなので、テフロンのフライパンに慣れた人も移行しやすいです。
両手パンはそのまま食卓に運べて、器も兼ねるデザイン。朝の時間のない時に、目玉焼きとソーセージを焼いてそのまま出せるのはとても便利です。また、餃子などもパリッと焼けて焦げ目がきれいにつきます。みんなでつっついて食べると美味しさも増します。
フライパンよりも丸くて深い形のアジアンパンは、汁気のある料理に重宝します。写真は、麻婆豆腐。仕上がりが水っぽくならないところも、このフライパン使いの特性です。ご飯のすすむ料理を、たっぷりつくって大きめの器に盛りつけると、食欲もそそられます。
使い方のコツ 火加減は、弱火~中火で調理をすると美味しく仕上がります。IH調理器にも使用可能です。使うことで油馴染みがよくなり、錆も防ぎますので、ぜひ頻繁に使ってください。また、長時間の空焚きや、熱いうちに水につけるなどの急冷は、鉄板が変形することがありますので避けてください。
使いはじめ 仕上げに、蜜蝋とエゴマ油のワックスを塗っているので、使いはじめの際は、煙が出なくなる状態まで空焚きしてください(これでワックスを焼き切ります)。火を止めて少し冷ましてから油を引き、野菜くずなどを炒めると油が馴染みます。洗浄後、調理にご使用ください。
煙が出る
煙が出なくなる
若干冷まして油を引く
野菜屑(皮など)などを炒める
使用後に油を塗る
準備OK
使用後のお手入れ 洗浄はスポンジや布などを用い、金属タワシの使用はできるだけ避けてください。洗剤は使用可能です。洗浄後は必ずあぶって水滴が残らないようにしてください。また、錆が出た場合は、お湯とスポンジで錆を洗い落としてから油を塗ってください。
料理:セトキョウコ
写真:上山知代子
文・構成:竹内典子