技法のはなし
作品のタイプで、いくつか技法は異なりますが
木の表情が強い器について、断片的ですが触れてみます。
まず使用する道具は…
手押し鉋盤 / 帯鋸 / ジグゾー / チェーンソー / 電動カンナ / 電動曲面カンナ / ディスクブラシ / 切れる反鉋 / 切れない反鉋 / 切れないノミ / 玄能 / マイナスドライバー / 各種鉄ヤスリ / 紙ヤスリ
特別な道具は使用していません。
その道具の使い方や木との関わり具合など、感覚の方を重要視しています。
たとえば、鉛筆をナイフで削るとします。
多分経験者なら、刃先を無意識に同じような角度で当て、木部を削り始めるでしょう。
鉛筆の後部から芯の先端に向かって、その円錐形を意識しながら。
おそらく、逆方向に、芯の先端から鉛筆の後部へ削るという人はいないでしょう。
でも、その発想が大事です。
実際に、そのような非常識?な角度から刃物を使用すると、
思いがけない木の表情が現れます。怪我をしやすいのですが。
また、字を覚える前の子供が書く、鉛筆の線に興味がありました。
よく観察すると、握力がないので、鉛筆が紙の上でフラフラしていました。
早速、ノミやカンナをやさしく握ったり、手首の力を抜いたりと
真似てみましたが、これは危ないだけで失敗でした。
でもこのような失敗や試行錯誤の中から、
今の技法が形成されたと思っています。
それから、着色について。
煤けた風合いを出すために、草木染めと化学染料を併用しています。
塗装については、紆余曲折しています。
さまざまな塗料を試した結果、今はウレタン塗料を少量使用しています。
ウォッカのような透明感は、ケミカルな塗料でしか表現できないのです。
2011.2. 羽生野亜・談