「器のかたち × こころみの硝子Ⅱ」 2017.5.16
文・構成:竹内典子 / May. 2017
ガラス作家・谷口嘉さんとエポカ ザ ショップ銀座・日々、そしてパノラマで取り組んだ、新しいガラスの器づくり。昨年9月に「器のかたち × こころみの硝子」として展覧会が開催されました(作品の一部は販売中です)。その第二回目となる展覧会「器のかたち×こころみの硝子 II」が、6月2日(金)から7日(水)まで銀座にある日々にて開催されます。
「昨年は宙吹きと型吹きの両方をつくりましたが、今展は型吹きにしぼっています。宙吹きではつくれないような角ばった形や変形などを意識して、金縁シリーズを中心に、新たに10アイテム以上を考案しました」と谷口嘉さん。
初登場の八角形を横長にしたような長方皿や長方小鉢、三日月鉢などは、型吹きならではの形や佇まいが目を引く。これらは昨年発表され好評だったオーバル型、丸型、八角の器のよさを、自然と引き継ぐ形で生まれたそうで、新作はほかにも八角鉢や丸鉢のサイズ違い、九角シリーズ(小鉢、片口、盃)などがあり、今展ではそうした昨年からのコラボアイテムがすべて並ぶ。
谷口さんの型吹きは、薄いガラスの中に微小な気泡がささやかに揺らぐ。マットな質感の金色の縁にも、加飾というイメージは薄い。大らかに、シンプルに、という方向性は、どこからやってくるのだろうか。また、器づくりと、インスタレーション作品とはどう結びついているのか。
「インスタレーションの作品を作ってきた中で、ガラスの加工や扱いに関して、いろいろな試みをしてきました。たとえばガラスは水をつけながら研磨するのがセオリーですが、あえてそういうセオリー以外の扱い方をしてみる。きれいに仕上げず、多少の雑さや足りなさを残すことが、自分の考えるガラスらしさというものを際立たせる、そういうふうに考えるようになりました。器を作ることにおいてもそういったことは影響していて、いい意味でのやり切らなさということを考えながら、自分らしいガラスの器というものを模索してきたという感じです」。
そうしたガラス素材との向き合い方から派生していく器づくり、形づくりの流れの中で、日々の根本美恵子さんと今岡美樹さんの存在は大きい。
「器の用途などについて、自分ではわからなかったことを、日々のお二人との2回のコラボレーションを通して勉強させていただきました。目的がはっきりしたので、器をつくるということが明確になりました。この企画を通して、器づくりの基本を勉強させていただいたことは、自分にとって大きな蓄積となっています。これからも器づくりは途切れることなく続けていくことと思いますし、吹きガラスは手が慣れることでクオリティを上げていけるという手応えもあります。今後はさらにバリエーションも増やしていこうと思っています」。
器のかたち × こころみの硝子Ⅱ 谷口嘉WEEK
エポカ ザ ショップ銀座・日々
12:00 - 19:00(最終日17:00終了) 無休
http://epoca-the-shop.com/nichinichi/
03-3573-3417
東京都中央区銀座5-5-13
●地下鉄 銀座駅B6出口より3分