瀬沼健太郎の花とガラス 「移ろう季節の中で ー 晩秋編」
十三夜を過ぎた秋の晩(くれ)、ガラス作家の瀬沼健太郎さんはいつもの山へ向かった。澄み渡った空は高く、夏よりも傾いた陽射しが、山の斜面を遠くまで照らしていた。耳に届く鳥の鳴き声、川のせせらぎ、風が葉を揺らす音も心地よい。植物が枯れ始めるこの季節は、一年で最も植物の表情が多彩になる頃。森全体の息吹を感じるなら梅雨の季節がおすすめだが、個々の植物に向き合うなら晩秋はいちばん愉しいという。「同じ種類の草花でも、葉の色づきや虫食い跡など違っていて、一つ一つじっくり見て遊ぶのはとても面白いですよ。この季節らしさを伝えたくて、“一本を生ける”という気持ちで生けてみました。一枝に広がる表情の豊かさを、じっくりと感じてほしいです」。自作のガラスの器に、自ら採取した草花を生ける「瀬沼健太郎の花とガラス」。第三回は、晩秋編です。
国営昭和記念公園の一角にある日本庭園。日本の伝統的文化を継承する場として、また、人々がコミュニケーションを深める語らいの場として、さまざまな活動を行うことができます。
今回撮影でお借りした「歓楓亭」は日本庭園内の池の西側にあり、奥深い池の広がりが観賞でき、建物は、北山の杉丸太、吉野の錆丸太、木曽の檜板などを随所に用い、檜皮葺きの屋根や柱と桁の仕口・継手など、日本でも数少なくなった数寄屋大工ら独特の職人が扱う伝統的な技術をふんだんに取り入りれています。
開催時間内にはお抹茶とお菓子の呈茶サービス(※有料)を実施しています。
詳しくは国営昭和記念公園管理センターまでお問い合せ下さい。
〒190-0014 東京都立川市緑町3173 TEL 042-528-1751
場所・撮影協力:歓楓亭 / 国営昭和記念公園
器・花生け:瀬沼健太郎
文・構成:竹内典子
写真:大隅圭介