漆加工について

漆加工

● 主に食器など、使用上で強度や耐水性が必要な場合に用いる方法

塗(ぬり)

木材表面に下地を施した後、漆を刷毛で4〜5回塗り重ね塗膜を作る。最も耐水性のある塗装。
  黒漆塗(くろうるしぬり) 黒色
  本朱塗 (ほんしゅぬり) 深い朱色
  透き漆 (すきうるし) 別名、木地溜塗(きじためぬり)、木地呂塗(きじろぬり)とも言い、深い褐色の下に木目などが透ける塗り。いずれも塗膜を作る事が特徴。

摺漆(すりうるし)

別名拭き漆(ふきうるし)。生漆(きうるし)を材に摺り込んで仕上げる方法。耐水強度は「塗」に準じてあり木目を活かす時に有効で、塗膜を作らない。褐色透明な仕上がり。

薄く延ばした金属を表面に貼り施す技法で、漆を使って箔を貼る技法を特に漆箔(しっぱく)という。へぎ作品では金、銀、アルミ、黒箔(くろはく。あらかじめ酸化させた、いぶし銀箔)などで、多いのは黒箔。経年変化で表面がこすれとれ、古びが出る。
● 耐水強度は落ちるが、古色のような風合いが欲しい場合に用いる方法。皿など食器に使う場合は摺漆を併用する。

錆(さび)

漆芸での下地法の一つ。砥の粉を水で練り、生漆を加えたもの。一般には塗の直前の下地や木材の目止めとして使われ、この段階で終了する事はない。錆を施した段階の味わいが古びや雰囲気を感じさせる事から、へぎ作品では、錆「仕上げ」として多く使用。
  錆(さび) 上記の錆を摺り込み、乾燥させたもので、マットな仕上げになる。別名拭錆(ふきさび)とも言う。艶や耐水性をつけたい場合は、その上から摺漆を施す。
  黒錆(くろさび) 錆に松煙(しょうえん)を混ぜ込んで黒く着色したもので、使い方は錆と同じ。
  白錆(しろさび) 錆を作る時に、水と漆の割合によって、乾燥後表面が白化する事を偶然発見し、白っぽくしたい時に使用。使い方は錆と同じ。漆芸の技法にはない。
  色錆(いろさび) 黒錆の松煙の代わりに顔料を加える事たもので、多様々な色錆を作る事が出来る。彩度は全体に低い。例=朱錆(しゅさび)など。
● 表現を重視する場合に用いる方法。技法によっては食器として使用出来るだけの耐水性はない。

蒔き(まき)

蒔絵(まきえ)という漆芸加飾のメイン技法で、漆で描いた図柄や漆の塗面に、金属粉などの粉体を蒔いて、乾燥後、定着させて表現する技法の総称
  錫粉(すずふん) 蒔きの技法に錫粉を使用したもの。通称、錫粉仕上げ、錫粉蒔。使用強度は強い。
  蒔朱(まきしゅ) 蒔きの技法に、朱色の顔料を使用したもの。比較的彩度のあるマットな仕上げ。食器以外で使用。

漆以外の加工

白木仕上げ

木地のままの表現。撥水性の為に蜜蝋を施す。

胡粉

日本画、建築塗装で一般的な白色塗装材を、膠(にかわ)と練り合わせて使う。マットな純白が欲しい時に使用。漆芸技法では得られない白色。