panorama

panorama lab. - Special collaboration
Photo : Katsuhito NAKAZATO × Frame : Yuuko HAYASHI
写真:中里和人 × 額:林友子

文・構成:竹内典子 / Jun. 2017

風景の中にそっと額を置いてみる。景色は縁取られ、1枚の絵になったり、見ている人を内部へと誘う扉になったり。ただそこに額があるだけで、風景と会話が始まる感覚は不思議で愉しい。
屋内に置かれるはずの額を、あえて外の世界へ解き放ったのは、写真家・中里和人さん。何気ない景色の中に、風土や時間の営みによって生じた微かな輝きを見つけて写し出す、その中里さんのまなざしに、林友子さんの「額」というもう一つのファインダーを重ねてもらった。林友子さんと中里和人さんによるコラボレーション、第一弾はフィールド編。

Day1

中里さんとフィールドに出る。山肌の観音洞窟、無人の素掘り隧道、薄曇りの地平線、潮風に削られた岩肌…。房総の風景の中へ、大きな額を担いで歩く。この額にとって初めての旅。

Day2

房総2日目。小さな海岸をいくつかハシゴする。少しずつ趣きが違う海辺の営み。それぞれの気配から潜在する風景のかけらを見つけ出す。そこに額を置いてみると、何かが動き出した。

額縁として、何かを額装するのはもちろんのこと、何も入れないフレームだけの存在感も美しく、オブジェになったり、軸になったり。あるいは何かと取り合わせて境界や結界を演出したり。室礼の道具にもなる林友子さんの「額」は、その自在性が新鮮で、もっと魅力を知りたいと、写真家・中里和人さんとのコラボレーションを企画した。

photo by Katsuhito NAKAZATO